睡眠時無呼吸症候群とは

1.睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome)とは、眠っている間に呼吸が止まる病気の事で、別名「SAS(サス)」。
10秒以上の気流停止(気道の空気の流れが止まった状態)を無呼吸とし、無呼吸が一晩(7時間の睡眠中)に30回以上、又は、1時間あたり5回以上あれば、睡眠時無呼吸とされる。
リコード法においても睡眠時無呼吸は認知機能低下の重要な原因になるとさている。(書籍P208参照)
睡眠時無呼吸であれば、例えリコード法が推奨する睡眠時間(7時間~8時間)を確保していたとしても、半覚醒状態&脳の低酸素が一晩中続き、細胞修復に必要な良質な睡眠が得られないだけでなく、脳が低酸素になる事でアルツハイマー病を引き起こす「アミロイドβ」の生成を促進する可能性がある為、優先して対処すべき課題の1つだと思われる。

2.睡眠時無呼吸症候群が引き起こす病気

(1)認知症

認知症患者の「約9割」が睡眠時無呼吸症候群だったという報告有り。
睡眠時無呼吸症候群では、無呼吸状態が続くと肺での換気が十分にできず、血液中の二酸化炭素が溜まり、酸素が減少する低酸素状態になる。アメリカにおける研究報告では、低酸素ストレスを与えると脳内にアミロイドβタンパク質が増えるといわれている。
睡眠時無呼吸症候群の患者が認知症に移行しやすいということは、こうしたデータからも裏付けられている。
RDI(Respiratory Disturbance Index=呼吸障害指数、検査中にカウントされた無呼吸、低呼吸の総回数を記録時間で割った値。1時間あたりに換算し、5回未満であれば正常)の数値が悪化しているほど認知症の症状が重いことも判明。とくに80歳以下では、RDIと認知機能の低下の関連が強く、これは年齢の若い認知症患者でよりRDIが認知機能の悪化と関連していることを示している。このことは、認知機能の低下の初期の段階で睡眠時無呼吸症候群の治療を行うことが予防や進行を遅らせるためにも重要。

(2)高血圧

米国で一般住民を対象に行われた睡眠呼吸障害の大規模研究「ウィスコンシン睡眠コホート研究」で、SASと高血圧には明らかな関連が示されている。
血圧140/90mmHg以上、もしくは降圧薬を服用している場合を「高血圧症」と定義し、709例を対象に4年後の高血圧発症リスクを調査した結果、SASによる発症リスクは、健常人の約1.4~2.9倍になるというデータが報告されている。

(3)心臓病(心疾患)

冠状動脈が狭くなったり詰まったりする原因の一つに「動脈硬化」があるが、睡眠時無呼吸症候群(SAS)が重症になるほど動脈硬化が進行するという研究報告がある。
なぜSASで動脈硬化が進行しやすいのか、そのメカニズムは明らかになっていないが、SASによる間欠的低酸素血症(無呼吸による低酸素状態と呼吸再開後の正常な酸素状態とを交互に繰り返すこと)が体内で炎症症状を起こす原因因子(炎症性サイトカイン)の産生を促進すると考えられている。
また、血管を詰まらせる原因の一つになる血栓の産生や、冠動脈の痙攣にもSASが関与している。
睡眠時無呼吸症候群が「不整脈」と関連がある事もわかっている。
不整脈の一種である「心房細動」は、「心房」という心臓を構成する部分が異常な電気刺激を受け、十分に収縮できない状態になる事だが、これも睡眠時無呼吸症候群(SAS)とも関連があることが明らかになっている。

(4)脳卒中

1,022例を対象にした約3年間の追跡研究の結果によると、睡眠時無呼吸症候群(SAS)重症例では脳卒中・脳梗塞発症リスクが3.3倍になることが報告されている。

3.睡眠時無呼吸症候群の治療方法

(1)CPAP治療

CPAP(シーパップ)療法は閉塞性睡眠時無呼吸タイプに有効な治療方法として現在欧米や日本国内で最も普及している治療方法です。
CPAP療法は、CPAP装置を使い、寝ている間の無呼吸を防ぐ為に、気道に陽圧の空気を送り続けて気道を開存させておく治療法。
CPAP装置からエアチューブを伝い、鼻に装着したマスクから気道へと空気が送り込まれる。
保険適用可能の治療法。
CPAP装置を保険を使って「借りて」自宅等で使用する。

(2)マウスピース

歯科装具(マウスピース)を使って睡眠時無呼吸を治療する方法。スリープスプリントとも言われている。下あごを上あごよりも前方に出すように固定させることで上気道を広く保ち、いびきや無呼吸の発生を防ぐ治療方法。

(3)外科的手術

UPPPという軟口蓋(のどちんこ)の一部を切除する手術法がありますが、治療効果が不十分であったり、数年後に手術をした部位が瘢痕化してSASが再発することが少なくない。
小児の多くや成人の一部で、SASの原因がアデノイドや扁桃肥大などの場合は、摘出手術が有効な場合がある。

出典・引用

  • 睡眠時無呼吸症候群と認知症 メディカルノート
    https://medicalnote.jp/contents/160414-064-QY
  • 睡眠時無呼吸症候群が招く合併症|睡眠時無呼吸なおそう.com
    https://659naoso.com/sas/complication

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